消費税の確定申告ってどうやるんですか?Part1

困りごと
後輩の職人
後輩の職人

たくぞーさん、消費税の確定申告ってどうすればいいんですか?

なんか難しそうで...

 一人親方の皆さん、こんにちは。埼玉でサッシ工をしている「たくぞー」です。 
そろそろ確定申告の時期が近づいてきました。
 昨年、インボイスの発行事業者登録を行った一人親方さん、今年初めて消費税の確定申告する方も大勢いらっしゃるでしょう。後輩の職人の様に、なにをどうすればいいか分からない、難しそうでどうしよう、という声を現場でよく聞きます。皆さん安心して下さい。消費税の確定申告は所得税ほど難しくありません。
一人親方の皆さんにむけて、消費税の確定申告のやり方を詳しく解説していきます。

消費税の確定申告とは?

 昨年、インボイスの発行事業者登録を行った事業者は、今年3月31日までに消費税の確定申告を行わなくてはいけません
 消費税の確定申告とは、仕事で受け取ったり支払ったりした消費税額を計算し、残っている消費税額を国に納める作業のことです。

消費税の計算方法は2種類

 消費税の計算方法は『本則課税』と『簡易課税』の2種類あります。
 『本則課税』は、売上にかかる消費税額から仕入や経費にかかる消費税額を差し引き、手元に残っている消費税額を国に納める方法です。

国に納める消費税額=売上にかかる消費税額-仕入や経費にかかる消費税額

 売上にかかる消費税額とは、お客さんにインボイスで請求した消費税額のことです。
仕入れや経費にかかる消費税額とは、仕入れ先や小売店からインボイスや簡易適格請求書で請求された消費税額のことです。
インボイス等で請求した消費税額から請求された消費税額を差し引くと、手元に残っている消費税額がでますので、その消費税額を国に納めます。


 一方『簡易課税』は、インボイス発行事業者登録と同時に「簡易課税制度選択届出書」を提出した場合のみ適用できる制度で、「みなし仕入率」を用いて計算する方法です。
「みなし仕入率」とは、業種ごとに仕入れや経費がこれくらいかかるだろうと国が定めたもので建設業の場合、材料を仕入れ請負で行っている場合は70%、一人親方さんのように労務のみの場合は60%となります。

国に納める消費税額=売上にかかる消費税額-(売上にかかる消費税額×みなし仕入率)

売上1千万円未満の事業者は令和8年までは「2割特例」

 昨年まで年間売上が1千万円未満の事業者がインボイス発行事業者登録を行った場合、売上にかかる消費税額の2割を国に納める「2割特例」が利用できます。
これは、インボイス導入に際しての負担軽減措置で令和8年までの時限的措置となります。

消費税の確定申告方法

 消費税の確定申告は、国税庁の『確定申告書等作成コーナー』で、個人事業者であればどなたでも申告書を簡単に無料で作成できます。
 申告書の提出方法は、マイナンバーカードを持っており、マイナンバーカードに対応したスマホもしくはカードリーダーを持っている方でしたらe-Taxで、持っていない方は、『確定申告書等作成コーナー』で作成した確定申告書を印刷し、税務署に提出となります。

消費税の確定申告書作成

 国税庁の『確定申告書等作成コーナー』で消費税の確定申告書を作成する手順を説明します。

スマホで確定申告書を作成し、印刷して書面で税務署に提出する場合

①国税庁のHPから「令和5年分確定申告~各種情報・申告書作成~」のバナーをクリック。

②画面下部にある“確定申告書等を作成する”をクリック。

③“確定申告書等作成コーナー”をクリック。

④“作成開始”をクリック。作成のステップを確認し、“次へ”をクリック。

⑤作成する申告書は“消費税”、作成する年分は“令和5年分”、提出方法は“書面”をそれぞれ選択し、“次へ”をクリック。確認画面が出るので“次へ”をクリック。

⑥確定申告を行う人の生年月日を選択し、利用規約を確認し“同意して次へ”をクリック。確認画面が表示されるので、確認後“閉じる”をクリックし、“次へ進む”をクリック。

⑦基準期間(令和3年1月1日から令和3年12月31日)の課税売上高は、令和3年分所得税確定申告書の収入金額等(事業・営業等)に記載されている金額を入力して下さい。下記の設問にそれぞれ選択し、“次へ進む”をクリック。

Q適格請求書(インボイス)発行事業者ですか?→“はい”

Q令和5年10月1日以降に新たに課税事業者になりましたか?→“はい”

Q2割特例を適用しますか?→“はい”

Q簡易課税制度を選択していますか?→昨年簡易課税選択届出書を提出している場合は“はい”提出していない場合は“いいえ”

Q売上税額の計算方法を選択してください→“1 割戻し計算”

     

⑧「事業所得(営業等)がある」を選択し、税率6.3%(旧税率)適用分の取引は“いいえ”を選択し、“次へ進む”をクリック。

⑨売上金額等“入力する”をクリック。

⑩売上(収入)金額は、令和5年10月1日から令和5年12月31日までの3ヶ月間の売上金額を入力して下さい。令和5年1月からの1年間ではありません。

「課税取引金額の内訳の入力」にある「うち税率6.24%(軽減税率)適用分」は“0”円と入力し、以下の「売上げに係る対価の返還等の金額の入力」「発生した貸倒金の金額の入力」「回収した貸倒金の金額の入力」の3つの設問は全て“いいえ”を選択し“次へ進む”をクリック。

  

⑪先ほどの画面に戻るので、“次へ進む”をクリック。

⑫国に納める消費税額が表示されるので確認し“次へ進む”クリック。

⑬消費税の納付を、「初めて振替納税(金融機関からの口座引き落とし)する場合」は“振替依頼書(書面)を作成する”をクリックし依頼書を入力。「スマホアプリ(PayPayやd払いなど)」「コンビニ(ファミリーマート、ローソン、ミニストップ)」で行う場合は、それぞれチェックを入れる。画面下部にある納税地や氏名、電話番号を入力し、“次へ進む”をクリック。マイナンバーを入力していない場合、確認画面が出るので“キャンセル”をクリック。

⑭“帳票表示・印刷”をクリックすると確定申告書一式がダウンロード・表示されるので、内容を確認し印刷して、税務署に提出。

⑮消費税の納付方法でスマホアプリを選択した場合、QRコードが印刷されるので、アプリから読み取り支払う。コンビニ払いの場合、QRコードが印刷されるのでコンビニの端末で操作し、レジで支払う。


これで、消費税の確定申告は終わりです。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、手間をかけずに簡単に無料で作成できます。

さいごに

 初めて消費税の確定申告をする一人親方の皆さん、いかがでしたか。
令和8年までは『2割特例』が利用できますし、その後も「簡易課税」を選択していれば、売上金額を入力すれば簡単に消費税の確定申告が行えます。まだ「簡易課税」の選択届出書を提出していない方は税務署に提出を忘れずに!

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