記帳ってなんですか?

困りごと

後輩の職人A

たくぞーさん、記帳ってなんですか?

税務署から記帳のパンフレットが送られてきたんですが、

全く理解できなくて...

 一人親方の皆さん、こんにちは。埼玉でサッシ工をしている「たくぞー」です。 

 税務署から定期的に記帳のパンフレットや記帳学習会の案内が送られてきますが、個人商店を想定した内容ですので、建設業の一人親方には、なじみませんね。
 そこで、建設業で働く一人親方の皆さんに、分かりやすい記帳のやり方を説明します。
建設業の一人親方は基本的に、経費(仕事をするうえで必要な支払い)が少ないので、記帳は難しくありません。

記帳ってなに?

 まず最初に『記帳』とは、“帳簿記入”を省略した言葉で、帳簿をつけることを意味します。
帳簿とは、仕事に関するお金のやりとりを記録したもので、取引している会社に請求したら売上を記録し、仕事で使う道具や材料を買ったら、経費として記録するなど、家計簿の仕事版だと思って下さい。
↓の画像が帳簿を抜粋したものです。

なぜ記帳しなくてはいけないの?

 なぜ、記帳しなくていけないのか?
それは、法律で定められているからです。毎年2~3月に行っている確定申告の時に、税務署に提出する必要はありませんが、税務調査が行われたときに、領収書がない電車やバスなどの交通費や自販機での飲み物代などが経費として認められず、税金を追加で支払わなくてはいけなくなります
 その為、記帳を行わなくてはいけません。

記帳のやり方は?

 それではさっそく、記帳のやり方を説明します。
まず、帳簿はEXCELで作成した方がいいです。確定申告で集計する際に、EXCELですと、簡単に集計出来ます。↓の帳簿はEXCELで作成しています。

 帳簿で、必ず記載しなくてはいけない項目は、①取引した日時、②取引内容、③勘定科目ごとの金額、です。
 順番に説明しますと、①の取引した日時は、請求書を発行もしくは受け取った日が原則となります。取引している会社に請求書を発行した日を記録して下さい。入金された日で記録している方を見受けますが、誤りです。税務調査の際に、必ず指摘を受けます。支払いの際も同様に、材料など問屋さんから仕入れた際は、請求書を受け取った日付で記録して下さい。請求書が発行されない、その場で現金で支払ったときは、その支払った日付で記録して下さい。

②の取引内容は、どこに、なんで、請求もしくは支払ったかを記録します。例えば会社に対して請求するのであれば、●●工務店に掛売上と記録します。“掛売上”とは、請求と同時に支払われない、後日振り込みとなる場合に、使う会計用語です。一般的に、会社からは請求月の翌月に振り込まれるので、“掛売上”となります。
物を購入した場合は、どこのお店で、何を購入したかを記載し、交通費の場合は、どこの現場までの交通費か分かるように記載します。
接待交際で支払った場合は、必ず領収書の余白に、誰と行ったかを記入し、帳簿にも記載します。これを行っていないと、税務調査で経費として認められない、つまり税金を多くとられてしまいます。。

最後に③の勘定科目ごとの金額を記録します。
勘定科目とは、売上や仕入のほか、支出の項目ごとに分かれているグループの名前のことです。
例えば、自宅から現場まで、電車やバスなど公共交通機関を利用した場合の交通費は「旅費交通費」ですし、仕事で使用するスマホ代の一部は「通信費」、仕事で使う道具が1個10万円以下であれば「消耗品費」に該当します。
その勘定科目ごとに金額を記録していきます。

一人親方がつかう勘定科目

 実は「勘定科目」は、法律で定められているわけではありません。自由につけることは可能ですが、取引内容にふさわしく、客観的に分かりやすい名前をつける必要があります。
以下に、一人親方がつかう勘定科目を一覧にしました。

勘定科目名取引内容など
売上手間も含めて会社に請求したとき
仕入現場で使用する材料、ビスや塗料など
旅費交通費現場までの交通費、公共交通機関以外にも、現場まで車やバイクで行く場合のガソリン代や高速代、
コインパーキング代も含まれます
通信費スマホ代、仕事のやり取りで使用する分は経費になります
修繕費仕事で使用する道具・工具を直したとき
消耗品費10万円以下の仕事で使用する道具・工具などを購入したとき
接待交際費取引先や協力会の人を接待したとき
雑費他の勘定科目にあてはまらないもの
減価償却10万以上の仕事で使用する道具・工具などを購入したとき

 注意して頂きたい点は、消耗品費と減価償却の違いです。
両方とも「仕事で使用する道具・工具などを購入したとき」ですが、消耗品費は1個当たり10万円以下のもの、減価償却は1個当たり10万円以上のものと分かれています。
サッシ屋の場合、1個当たり10万円以上の道具や工具は基本ありませんが、内装屋さんの糊付け機は1個当たり10万円以上するので、一人親方さんが購入した場合は、その年に経費として計上するのではなく、6年かけて経費を按分して計上します。この6年かけて按分して計上することを「減価償却」といいます。
例えば40万円の糊付け機を購入した場合、6年かけて経費計上していくので、40万円÷6年=66,666円を毎年計上します。購入した年は月割りでの計算となります。
「減価償却」とは、このように金額の高い道具や工具は、その年限りのものではなく、何年にもわたって使用する為、購入した年に経費計上してしまうと、所得(利益)に影響を与えるため、数年にわたって経費を按分して計上できるようにしています。他にも仕事用の車を買った場合も適用され、普通乗用車であれば6年、軽自動車は4年かけて購入代金を経費として按分して計上していきます。

さいごに

 帳簿に日々の取引を記入・記録していく『記帳』
いかがでしたか? 勘定科目の種類が少ないので、他の業種と比べて簡単にできます。
この『記帳』と取引ごとに行って下さい。そして確定申告の際は、最終行に集計をすれば、簡単に「収支計算書」が作成できます。確定申告の直前に領収書の束を集計しなくていいんです。
一人親方の皆さんも、やってみてください。

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