青色申告すると税金が安くなる!?

税金関係

後輩の職人A


たくぞーさん、青色申告すると税金が安くなるって本当ですか?

 一人親方の皆さん、こんにちは。埼玉でサッシ工をしている「たくぞー」です。

 毎年3月の確定申告の時に所得税高いよな... 
そして6月に住民税の通知が来て、住民税高いよな...
なんとか安くならないかな~、って思いますよね。
後輩の職人も税金納めるのに四苦八苦して、相談したところ、
『青色申告』だったら税金安くなるよ、とアドバイスを受けたそうです。

 たしかに確定申告を『青色申告』で行うと所得税や住民税を減らす事は可能です。
しかし、『青色申告』を行うにはハードルがあります。そのハードルを乗り越えないと税金を減らす事ができないので、今回は『青色申告』の制度や方法、メリット・デメリット、「白色申告」との違いを解説します。

『青色申告』とは?

 所得税の確定申告には「白色申告」と『青色申告』の2種類の方法があります。
どちらも、1月から12月までの収入(売上)と仕入や経費を計算し所得金額(利益)を計算し、所得税額を確定させますが、その収入や仕入・経費を取引ごとに帳簿に記録(記帳)する方法が異なります。
 「白色申告」では、簡易的な帳簿1つだけ記録するだけで済みますが、『青色申告』では、複数の帳簿を記録しなくてはいけません。
複数の帳簿をきちんと記録することで、最大65万円を所得から差し引き、支払う税金が安くなるなど「白色申告」よりも税金の優遇が受けられる。それが『青色申告』です。

『青色申告』と「白色申告」の違いは?

『青色申告』と「白色申告」で記録する帳簿が違う

 白色申告の方と青色申告(特別控除10万円・最大65万円)の方では、記録する帳簿が異なります。白色申告は、単式簿記で簡単な帳簿を記録するだけで済む分、控除がありません。
 一方、青色申告は、複式簿記による記帳を行い、確定申告時に貸借対照表と損益計算書を添付することで最大65万円の控除青色申告特別控除を受ける事ができます。

単式簿記と複式簿記の違い

 単式簿記は、収入(いくら請求したか)と支出(いくら請求を受けたか・支払ったか)のみを記録する簡単な方法なので、収入から支出を引いた利益を計算することはできますが、会社の資産や負債がいくらあるのかは分かりません。一方、複式簿記は、収入と支出のほか資産や負債といった財務状況を記録する方法です。
 例えば、取引している会社に11月30日に50万円の請求を行い、その場で現金でもらった場合の記録は、

1)単式簿記の場合
11月30日 売上 500,000円

2)複式簿記の場合
11月30日 現金 500,000円 / 売上 500,000円

となります。
 複式簿記では、現金という資産が50万円増えて、収益が50万円増えた、というように1回の取引で会社の「資産・負債・純資産・収益・費用」の増減を記録していきます。

『青色申告』と「白色申告」どちらがいいか?

 白色申告と青色申告(特別控除10万円・最大65万円)どちらで申告したらいいか、それぞれメリットとデメリットがあります。まとめたものが次の表です。

 白色申告と青色申告、どちらで申告したらいいのかは、納税者によって異なります。
青色申告については、記帳ができるかどうかが一つの目安になります。

 原則、白色申告者であっても取引ごとに記帳が義務とされています。現在、取引ごとに記帳していない、確定申告の直前に請求書や領収書を集計している場合は、まずは取引ごとに記帳する習慣をつけ、慣れてきたら青色申告を目指した方がいいです。記帳に慣れている方やご家族が仕事を手伝っている(専従者)場合は、ぜひ青色申告に挑戦して下さい。

 青色申告特別控除で最大65万円を受けるには、会計ソフトの導入、確定申告をe-TAXで送信が必要となります。
 会計ソフトはクラウド型が便利です。年間利用料も1~2万円前後で利用できます。多くのクラウド型会計ソフトでは、無料でお試しができます。

 e-Taxではなく、税務署に確定申告書を提出する場合の青色申告特別控除額は55万円となります。

『青色申告』でいくら税金が安くなるのか?

 青色申告で65万円の控除を受けた場合、所得税・復興特別所得税・住民税がいくら節税になるのかを試算してみました。
 白色申告の方が、所得から基礎控除や社会保険料控除などの所得控除を引いた『課税される所得金額』が500万円の場合、所得税・復興特別所得税・住民税の合計は1,094,000円となります。

 青色申告特別控除65万円を受けた場合の税金の合計額は896,000円となり、白色申告より198,000円節税となり、会計ソフトの年間利用料を払っても、節税効果がでます。
また、家族が仕事を手伝っている専従者の場合、その家族に給与を支払うことにより、さらに節税することが可能です。

『青色申告』をはじめるには?

 『青色申告』を始めるには、事前に税務署に「青色申告承認申請」が必要となります。
年3月15日迄に税務署に提出すると、翌年の確定申告から『青色申告』となり所得から最大65万円の青色申告特別控除が受けられ、税金を低減できます。
 その「青色申告承認申請」の際に、簿記の方法(複式簿記か簡易簿記か)と記録する帳簿を決めなくてはいけません。詳細は別記事で解説します。

さいごに

 一人親方の皆さん、いかがでしたか?
『青色申告』で確定申告すると、所得税だけではなく住民税も安くなる、国が認めている節税方法ですが、やらなくてはいけない基準が結構高いです。
 最大65万円の控除を受けるには複式簿記の知識が必要となりますので、まずは簡易的な帳簿の記録で済む青色申告特別控除10万円を目指してはいかがでしょうか。それで慣れてきたら青色申告65万円に挑戦という流れが理想的です。

コメント